
うみっこらんど七塚 海と渚の博物館 失われた能登の漁村風景が今に蘇るノスタルジック空間
2020年08月01日

石川県能登半島は、かつて漁業が盛んな地域でした。
最盛期には沿岸にだーっと漁村が展開されていたそうで。
そんな漁業と人とのつながりを紹介しているのが「海と渚の博物館」です。
場所は、のと里山海道の白尾インターチェンジを下りてすぐ。
ちょびっと脇道に入ったところにあります。
キャンプ場なんかが併設されていて、多分そっち目的で訪れる人の方が多いでしょう。

エントランスからいきなりスタイリッシュ!
「田舎の博物館」的なドロ臭さがなく、シャープなラインがぴっと伸びる洗練されたフォーム。
壁の茶色は多分珪藻土(けいそうど)でしょうね。
珪藻土とは堆積岩の一種で、海の底に沈んだプランクトンの死骸が積もり、圧縮され、数千万年かけて石化したものです。
能登半島は実に3/4がこの珪藻土で形成されているそうで、埋蔵量なんと日本一。
ゆえに今も昔も珪藻土の一大産地として知られています。

まずは内部構造をざっと俯瞰。
どうです?
この形、なんかピンと来ません?
そう、舟ですね。
この建物の形は、舟をイメージしています。
設計を手掛けたのは内井昭蔵(うちい しょうぞう)。
以前このブログで紹介した大野からくり記念館もこの人の設計です。
この人の建築、イロイロ仕掛けがあって面白いんですよね~♪

まずは舟の周りをぐるっと回ってください。
ここはいわば「波止場」の部分に当たります。
波止場だけに舟の「外」に関するものが中心に展示されており、漁業地図とか航海日誌とか船の構成部品なんかが見られます。
こうした展示品を通じてかつての能登の世界へと入っていくわけですね。
つまりタイムスリップへの入口です。
そしていよいよ乗船です!

舟へはスロープを降りて乗り込みます。
このスロープ、実はこれもひとつの仕掛けなんです。
これってタラップのイメージなんですね。
タラップって、舟に乗る時に渡る橋みたいなアレです。
だから細くて長いんですね。
ここを通る時はぜひそんな「舟に乗り込む感」を感じながら降りて行ってください。

スロープを降りると、いよいよ舟の中。
ここでは当時の漁業の様子とか舟に関する様々な展示が見られます。
まずは最強の目玉からご紹介します。
それがこちらの『櫓こぎ体験』。
なんとコンピューターシミュレーションで舟を漕ぐ体験ができます。
舟を漕ぐ手順については詳しい案内があるので、初めての人でも安心。
さらに「櫓漕ぎ名人じんべい」との競争ゲームなんかも用意されてて、エンターテイメント性抜群!!
故障してて動いてないけどね。(←!)

さらにタライ漁体験ってのもあります。
これはかつて能登で行われていたタライ漁の再現で、ゲーム感覚で漁が体験できるという遊びです。
やり方は簡単、穴からのぞき込んで映像の中のサザエやタコを捕まえるだけ。
シンプルで体力もいらないから、お子様でも思いっ切り堪能できます。
故障してて動いてないけどね。(←!)

あとスタンプラリーなんかもあります。
入口でもらったカードを機械にガチャンと差し込むだけ。
動いてないけどね。(←!)
展示されている漁具の解説なんかも、モニターで自動案内してもらえます。
動いてないけどね。(←!)

そんなデジタル部分全滅な展示空間ですが、アナログ部分は無事です。
そのひとつがこちら、浜納屋。
昔はこんな納屋が海岸沿いにいくつも並んでいたそうで。
これが結構雰囲気出てましてね。
めちゃめちゃレトロチックで昭和感全開!
特に中に置いてある漁師おやじの人形が妙にリアルにできてまして、「うおっ、なんでこんなトコに突然人おんねん!?」って一瞬ビビるほどのヤバさ(笑)。

こんなのもあります。
「舟小屋」。
こちらは見ての通り舟を格納しておくための小屋。
冬場はこんな感じで舟を海から上げて、小屋の中に収納しておいたんだとか。
って言っても、舟なんてどうやって浜の上まで引っ張り上げるの?と思われるかもしれませんが、大丈夫、そのための道具も展示されています。

それがこちら、「ロクロ」。
これと舟をロープで繋ぎ、竿を差し込んで、その竿をぐるぐる回して引っ張り上げたんだとか。
竿がテコの原理を発生させ、より小さな力で舟を引けたんですね。
さらにより動きやすいよう、舟の下にはコロを噛ませたそうです。
とは言っても所詮は人力なんでね。
実際はかなりキツイ作業だったでしょう。

で、展示品を一通り見たらちょっと上も見て欲しいのですわ。
鉄骨むき出しの船底天井。
舟がテーマの建物だけに船底天井。
右と左でやや高さをズラしてあるのは採光のためです。
このズレの部分が天窓になっていて、自然光が優しく降り注ぐ構造になっています。

舟を出ると、「かほくふるさと展示室」ってのがあります。
ここから先は現代の能登。
つまり舟の中のタイムスリップ体験を終えて、再び「今」の時間へ戻ってきたと、そんなストーリーになってるんですね。

ここではかほく市に関する情報が3つのテーマに分けて紹介されています。
左壁面が「かほく市出身の有名人」、右壁面が「かほく市の紹介や案内」、手前壁面が「かほく市の史跡・文化」。
個人的に喰いついたのは史跡の部分ですかね。
お、次ココ行くべー、みたいな。
こういうニッチな情報が、意外に行ってみると面白かったりするのです。

能登半島が漁村だった頃の姿が見られる海と渚の博物館。
へ~昔の能登ってこんな所だったんだ~、なんて思いながら眺めてみてください。
今は失われたかつての風景の再生に、不思議なノスタルジックムードが味わえますよ!
そして!
故障機器、早よ直してよ~(笑)。

あっと、それともうひとつ。
建物の外にこんなのがあります。
潜水艦。
これ、ただポーンと置かれてるだけでなんも案内がないのですわ。
船体に書かれてる『TADROLE=おたまじゃくし』という船名以外は一切不明。
ググって色々調べても、詳細情報全くなし。
パンフレットを見てもこの件については完全にスルー。
なんなんスかね、コレ?
一体この潜水艦、なんなのーー???
ちゃんと案内してくれーーー!!!
関連タグ >> 美術館・博物館 近代建築
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