白髭山 持明院 県内ではここだけでしか見られない県指定天然記念物「妙蓮」を堪能
2020年07月29日
妙蓮(みょうれん)ってご存知ですかね?
学名を『多頭蓮』と呼び、1つの花に複数のつぼみを付け、花ひとつに大きな花弁を1,500~3,000枚も付ける蓮です。
なんでもこの蓮が見られるのは全国でも滋賀県の近江妙蓮と、そしてここ金沢の持明院(じみょういん)だけなんだそうで。
要するに超希少種って事ですな。
その持明院の妙蓮が見頃を迎え、一般公開が始まったって事で、行ってきましたよ、早速。
まず訪問者を出迎えるのが山門。
サイズ的にはそれほど大きくなく、ごくシンプルに仕立てられた棟門。
黒い屋根瓦の下にかっちり組まれた木構造が美しいですな。
扉は観音開きの桟唐戸。
お城の門扉と違ってイカツイ黒金具でごてごてデコレーションされてないので、全体に軽快で近寄りやすい印象になっています。
さ~入っておいで~、みたいな。
その門をくぐって境内に入り左に折れると、いきなり本堂がどどんと現れます。
この画像、本当はもうちょっと引いて撮りたかったんですけど、引くと建物の前に木の枝がかぶさって邪魔だし、近寄るとフレームに建物が入り切らないし。
写真アングル難しいーー!!(泣)
ま、それはどうでもいいんですが、このお堂、バリバリの鉄筋コンクリート建てです。
なんでも昭和46年建造だそうで。
構造としては梁間3間(横方向・柱4本)、桁行4間(縦方向・柱5本)の方形(ほうぎょう=正方形)。
屋根は銅板瓦の反り屋根で、頂点には水煙を模したオブジェ。
この水煙オブジェがもぉ~かっこええ~~のですわ♪♪
と、この時は思ったんだけど、この水煙、本当は水煙じゃなくてどうも炎みたいです、後で分かるんだけど。
本堂内部はほとんどのスペースが内陣、つまり仏さまのスペース。
外陣(参拝者用スペース)は手前ちょびっとだけ。
大勢の参拝者を収容することは前提としてないですね。
ここでちょっと注目して欲しいのが天地の仕立てで、内陣と外陣とで天井や床に違いがあります。
外陣はフラットな格天井、内陣は格式高い折り上げ組入格天井。
床面も内陣の奥の須弥壇がある部分はちょっと底上げしてあります。
これは仏さまと我々人間との「格」の違いの表現なんですね。
こうして仏さまに「いい」場所を提供することで、信仰の気持ちを捧げているのです。
要は仏さまへのリスペクトって訳ですな。
内陣奥には、本尊として不動明王像が祀られています。
お寺の説明書きによると、1本の木を彫り抜いて作った一木造りで、制作は平安時代前期との事。
これがもー迫力満点でして。
右手に宝剣っぽい三鈷杵(さんこしょ)、左手に羂索(けんさく)を持ち、背後にはめらめら燃え立つ紅蓮の炎。
カッコええーー!!!
ここで思い出して欲しいのが、先に見た本堂天頂の水煙。
あの場所には通常火事除けのおまじないとして水煙を飾ることが多いので、わたしも最初見た時は水煙と思ったのですが、お不動さまと言えば火炎。
つまりあれは水煙じゃなくて炎だったんですね。
こうなると水も火も形同じだな(笑)。
で、その本堂の裏にぐるっと回ると、いよいよメインイベントの妙蓮池。
これがまた圧巻なのですわ。
一面に広がる緑・緑・緑。
目の前で見ると意外に高さがありまして、人の身長くらいはあるので、なんと言うか、天に向かって伸び上がるような独特の躍動感があるのですよ。
まるで池そのものがエネルギーの塊!
思わず一歩引いちゃうほどの迫力。
訪問時はまだ満開じゃなくて、ほとんどがつぼみの状態。
もう1週間遅く来たら、多分全然違う景色が見られたでしょうね。
ちなみにこのつぼみ状態の蓮華、よく仏像の持仏として使われているのを御存じでしょうか?
意識してなきゃ気付かないかもしれないけど、多分どこかで一度は目にしていると思います。
この蓮の花ってのは仏教で言う「悟り」を意味し、それがまだつぼみという事は悟りに至っていないという表現になります。
つまり仏さまが持っている蓮のつぼみは我々悟りに至っていない衆生の象徴であり、そんな未熟な者たちを仏の世界へ導いてくれるという慈愛を表しているのです。
今度仏像を見ることがあったら、そんな持物にもぜひ注目してみてください。
未開敷蓮華(みかいふれんげ=つぼみの蓮華)を見かけたら、ちょびっと”むふっ♪”とできますよ。(←?)
妙蓮池の片隅にはこんなものもあります。
茶室『一草庵』。
これがもうバリバリの本格仕様。
なんでこんなトコ(失礼!)に突然こんな素敵なモンあんの??みたいな意外感。
路地(庭)からいきなりイケてましてね。
置物の配置に、何気に茶道の一連の動きが見えるのですよ。
ちょっと追ってみますね。
まず入口から茶室に向かって敷かれた飛び石の通路の途中に手水鉢(ちょうずばち)。
ゲストはここで手をゆすぎ、身と心を清めます。
その先には外腰掛(そとこしかけ=ベンチ)。
手水鉢でのお清めが終わったゲストは、ここでホストの準備が終わるまで待機することになります。
そしていよいよお呼びがかかると躙口(にじりぐち)という狭~い穴から、それこそ体をねじらせながら入室し、お茶を頂くわけです。
あーーーー。
お茶って面倒臭ぇーー!!!(笑)
ついでに注意して欲しいのがコレ。
躙口の真下にちょこんと小さな石が置かれているのですが、コレなんだか分かります?
これは「関守石(せきもりいし)」と呼ばれるもので、”この先には入ってこないでください”という事を意味しています。
古いお寺とかに行くとたま~に見かけますので覚えとくといいですよ。
ここの場合は、「茶室内には入んないでね」というメッセージになります。
今が見頃の持明院の妙蓮池。
一般公開は7/25(土)~8/10(月)となっています。
いつでも見られる景色じゃないので、時間がある方はぜひこの機会に足を運んでみてください。
なお駐車場はお寺の裏側にあります。
そんなに広くなくせいぜい10台ほどしか停められませんので、もし満車の際には空くまで待ってください。
近所迷惑になるので路駐とかは絶対しちゃダメですよー!
関連タグ >> お寺
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