店主たみこの観光案内ブログ

石川護国神社 拝殿編 ◆アッチ向きの拝殿の謎を解く

2020年07月15日

石川護国神社

 

戦没者の英霊を祀る石川護国神社。
前回は一の鳥居から拝殿の直前までを見てきました。
今回はいよいよ神社の心臓部とも言える本殿・拝殿を見て行きます。

 

石川護国神社の拝殿

 

入口から真っすぐに進み、回れ右するとどーん!と現れる拝殿。
鳥居の向こうから覗く姿が神々しい!

 

こちらの境内、実際に現場に立つと分かるのですが、やたら広く取られてるのですよ。

その大きな面の中央に1筋の参道がすっと伸びる形になってまして、この「広」と「線」の構図がめちゃめちゃ遠近感を強調するのですわ。
なので直に見ると実距離以上の奥行きを感じるんですね。
そこから生まれる緊張感が何とも独特で、ここだけなんだかピンと空気が変わるような不思議な感覚があります。

 

拝殿前の大きな向拝

 

拝殿の軒先には鬼長い向拝がざばー!
明らかに建材が新しいので追築されているのが分かります。

 

このデカ向拝、参拝者目線で見れば雨露をしげるという意味ですごくありがたい設備なのですが、写真撮り的には後ろの建物を隠しちゃうもんで、邪魔で邪魔で。
建築大好き♪建物大好き♪なわたしとしては、ちょっと泣き入っちゃいますわ(笑)。

 

向拝正面

 

構造としては両脇に翼廊を連結させた切妻平入り。
なかなかのサイズです。

 

中央が拝殿本体ですね。
通常お祓いなんかはここで行われているのでしょう。

 

左右の翼廊内部については不明。
わたしも入った事ないので分かりません。
多分結婚式とか祭祀を行う際の式場として使われているのだと思います。

 

石川護国神社の拝殿内部

 

そして拝殿内部です。

 

中央上部には「顕忠(けんちゅう)」としたためられた扁額(へんがく)。
顕忠とは戦没者の追悼を意味します。
この拝殿(正確にはそのさらに奥の本殿)に戦没者の英霊を祀っているという事を示しています。

 

室内は床面に段を付けて手前から奥に向かって高くし、そのさらに奥にも再び段を備え、そのさらに上に大扉を設けてあります。
この扉の向こうがご神体の位置になります。

 

これを見て分かる通り、神様ってのは必ず上に置かれます。
これ神社建築のセオリー。
外に回って見ると分かりますが、拝殿の奥にある本殿はさらに地面まで一段底上げしてあります。
神さまの居場所は常に「上」でなければならないのです。

 

石川護国神社の境内図

 

さて建物の仕様を見たら、今度は神社全体の配置を見てみます。
石川護国神社の境内マップは上図の通り。

 

これ見て何か違和感感じません?
普通は鳥居から続く参道の直線上に社殿があるはずなのですが、ここではなぜかラインから90度折れた場所に建っています。
かなりイレギュラー。
方向も一般的な南向きではなく東北東という意味不明な中途半端さ。
明らかに「何かの意図」を感じます。

 

石川護国神社と招魂社の位置関係

 

これね、卯辰山に向けてあるんですよ。
かつてこの神社の前身であった招魂社があった場所ね。
実際google mapで確認すると、ピタっとそっち向いてるし。
今はこっちにあっても、あくまで本来の位置はあっちであり、元あった場所を遥拝するって意味でそっちに社殿を向けてんですね。
要するに向こうは奥の院な訳です。

 

石川護国神社の縁起書き

 

話が急に飛んじゃいますが、護国神社の祭神って何を祀っているかご存知でしょうか?
一般の神社だったら天照大神(あまてらすおおみかみ)だったり、稲荷大神(いなりのおおかみ)だったり、菅原道真(すがわらのみちざね)だったり。
神道の神さまや古代の偉人が祀られるケースがほとんどなのですが、護国神社の場合は、ここまで何度も出てきた通り、戦没者の英霊が祭神となります。
神社の公式アナウンスによると

 

『戊辰の役、西南の役、日清日露の両戦役、支那事変(日中戦争)、大東亜戦争までの英霊、44,832柱』

 

なんだそうで。(※柱とは神さまを数える時の単位で、要するに44,832人って事です)
だから神社の祭神としてよく聞く神さまの名前が出てこないのです。

 

境内内部

 

国の礎を築いた英霊の鎮魂を願い建てられた石川護国神社。
我々の今の平和な暮らしは、彼らの尊い犠牲の上に成り立っています。
そのことを思い、どうか近くを通った際には静かにお参りください。

 

余裕と足があれば、かつて招魂社があった卯辰山にも行ってみてください。
先に説明した通り招魂社自体は既にありませんが、卯辰山三社と呼ばれる神社が建っています。
こちらもすご~く味のある神社で面白いですよ!

 

 

石川護国神社

住所:石川県金沢市石引 4-18-1

TEL:076-221-2110

ホームページ:石川護国神社公式サイト

 




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