日向山 妙国寺 これがネズミって気が付きました?
2020年06月20日
タマゴのかわいいお寺、妙国寺(みょうこくじ)。
何がタマゴって、それはまた後で説明します。
宗派は日蓮宗。
仏教界の異端児、日蓮さんが開いた宗派です。
彼の生涯はドンパチまみれ、かなりの暴れん坊だったと伝えられています。
出る杭はいつの世も打たれるのです。
彼は打たれてもガンガン前へ出たけど!
まず入口にあるのがこの山門。
形式は正面に主柱の鏡柱を2本、裏面に添え柱を2本備えた薬医門です。
全体に線が細いせいか、見た目の印象としては弱め。
ガーン!と威圧するような迫力には欠けます。
別にお寺の門が訪問者を威圧する必要はないんだけどさ(笑)。
なんでもこの門、1780年の建立で、卯辰山寺院群の中では最も古い門なんだとか。
そう言われて見てみると、確かにボロボロ。
柱なんかそこら中に虫食いの跡が見られるし。
おーおーおー、大丈夫かよ?みたいな。
で、実際にかなり老朽化が進んでるらしく、柱の根元に修繕の跡が見られます。
分かりますかね?継ぎ足してあるの。
多分根元の部分が腐っちゃったんでしょうね。
で、腐った部分を切り取って、新しい木を差し込んで継ぎ足したのでしょう。
ジャッキか何かで門全体をえいや!って持ち上げて。
柱4本ある内、3本にこの修繕の跡が見られます。
残り1本は多分状態が良かったのでしょう、手を付けずにオリジナルのままの姿で残されています。
そんなご老体な門(←?)を抜けると、左にこんなのがあります。
洗い仏。
なんで背を向けてるのかは不明ですが、この仏さまをごしごし洗うと、洗った場所のけがや病気が治るのだそうです。
わたしもごしごし洗ってきましたよ、足。
昔足を怪我して今も不自由なのでね。
心を込めて洗ってきました。
良くなるかな?足。
ちなみに洗い方には「掟<オキテ>」がありまして。
堂内に洗い方の作法が解説されています。
1. お賽銭を入れる
2. 備えつけてあるたわしを使って体の治したい所を洗う
3. 柄杓を使って水で洗い流す
4. 合掌して平癒を祈る
と、この手順なんだそうで・・・あ、お賽銭入れるの忘れてた、ヤバッ!(汗)
その隣にはこんなお堂もあります。
大黒天堂。
冒頭でチラッと触れたタマゴってこのお堂の事です。
どう?タマゴみたいでしょ?
なんでタマゴ型をしてるかについては説明がなく不明。
どうも宝珠をイメージしてるって言われてますが、わたし的にはお宝詰め込んだ袋を表してるんじゃないかと予想。
大黒天は右手に打ち出の小槌を持ち、左肩に大きな袋を背負う姿で描かれることが多く、その袋には宝物が入っていると言われています。
つまりこのお堂は宝(仏の救い)の入った袋なのです。
と、解釈した方が宝珠説よりも自然じゃありません?
実際お堂の前にもうひとつのシンボルである打ち出の小槌の石像もあるし。
お堂の中はこうなってます。
奥に神棚があって、その上にはなんやらうやうやしく祀られた意味深な厨子。
この中には日蓮上人が彫ったと伝えられる大黒天像が安置されてるそうです。
と言っても閉じられてるから、肝心の像は見えんけどね。
それよりも気になるのがコチラの物体。
さっきチラッと話に出た、お堂の前にある打ち出の小槌像の上にあるものなんですが。
コレ、何か分かります?
正解はネズミです。
ネズミは大黒天の神使とされており、いわば化身ともいえる存在です。
そのネズミさまがここにちょこんといるのですが・・・全面苔に覆われてて、形もよく識別できんくらいにごてごて。
これはちゃんと掃除した方がいいんでね~の~??
そして本堂です。
屋根はシンプルな切妻屋根。
黒瓦でばっさりと葺かれ、面積たっぷり。
正面には唐破風。
滑らかなカーブをにゅっと描き、その下には雲形文様を刻まれた虹梁がきりっと架けられています。
建物は比較的新しいもののようですね。
全体に寺院建築のエッセンスは取り入れられているものの、壁はバリバリの現代素材だし。
唐破風の銅板瓦もまだイマイチ緑色に変色し切ってないし。(※銅板は始め赤茶色、そこから数年かけて徐々に深緑色へと変色していきます)
本堂内部はこんな感じ。
中央奥にずでーん!とメインの須弥壇。
金箔でコッテコテのキンキラキンに装飾された、典型的な極楽浄土ワールド。
画像じゃ小さくて分かりませんが、壇上には3体の上人像が祀られています。
中央は当然日蓮上人として、脇の二人はどなたでしょうか?
一方はこのお寺を開いた日全上人でほぼ確定として、もう一方が謎。
たまたまお寺の人と話せたのでこの件について質問したけど、その人も分からんのだとか。
多分日蓮さんのお弟子さんでしょう、誰かまでは分かんけど、というあやふやな返事でした。
誰??
色々面白さの詰まった妙国寺。
浄行菩薩に体の平癒を祈願するもヨシ。
大黒さまにお宝をおねだりするもヨシ。
日蓮上人に仏の道を教わるのもヨシ。
色んな楽しみ方ができるお寺です。
どうぞ堅苦しく考えず、軽いノリでお参りください。
志の高い方はネズミさんきれいにしてあげてください。
関連タグ >> お寺 卯辰山寺院群
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