
東香山 大乗寺 赤門編 ◆ここがこのお寺最大のクライマックス!
2020年05月30日

野田山の森の中にひっそりとたたずむ大乗寺(だいじょうじ)。
鎌倉時代に創建され、江戸時代に現在の地に堂宇を構えました。
禅宗系の厳しい修行道場として有名で、僧侶だけでなく一般の人も迎えた座禅会を行うなど、積極的な仏教思想の頒布を実践しています。
前回の記事では入口にある黒門を見てきました。
今回はその先へと進みます。

門を抜けると通路がクランクになっていて、いきなり右に90度折れます。
その突き当りにあるのがこの石仏3体。
中央の一番背の高いのが十一面観音、左が不動明王、右が延命地蔵。
組み合わせは少々イレギュラーですが、三尊像ですね。
こちらは同時に写経塔にもなっていて、十一面観音の台座の部分に写経が収められているそうです。
確かになんやら両開きの扉が据えられていますね。
案内板によると「戦没者英霊の供養と世界平和祈願」とあるので、忠霊塔的な目的で建てられたのでしょう。
3体6つの目で、あ、十一面観音がいるから26の目だな、で衆生の平和を見守っています。

その三尊像を左に90度折れると、突然目に飛び込んでくるのがこの二重門。
先に見た門が黒門と呼ばれているのに対し、こちらは赤門と呼ばれています。
ここが大乗寺最大のクライマックス。
すごいじゃないですか、このインパクト。
深い森の中に唐突に現れる巨大な朱塗りの門。
おおーー!と思わず後ずさりしてしまうくらいの迫力です!

部材は赤!赤!赤!ひたすら赤!
真っ赤っか!
全体の装飾はそれほど凝ったものではないのですが、この徹底した赤がもー鮮やかで。
吸い込まれそうなほどのエネルギー!
そしてこの門口を通して見えるビジュアルがまたいいのですよ。
真っすぐに伸びる参道、その奥にちらりと覗く仏殿。
この境界を抜けるとその先に仏の世界が待っているんだ、みたいな空気がガンガン伝わってきます。

入口両脇には仁王様。
左に吽像(うんぞう)、右に阿像(あぞう)。
吽像は口をへの字に結び、右手に宝棒、左手は手の平を前に突き出した施無畏印(せむいいん)。
”まあ落ち着きなさい”的なポーズでこちらを見据えています。
阿像は左手に金剛杵(こんごうしょ)を握り、右手は地面に向けてぐっと伏せる。
暴れ回る魔を無理矢理抑え込んでいるような力感。
特に見て欲しいのが目ですね。
薄黒い像全体の中で、ここにだけに彩色が施されています。
ゆえに眼力が強烈。
レーザービームでも飛んでくんじゃねえの?みたいな(笑)。

上部には再び扁額。
『東香山』と大書されています。
大乗寺の現在の山号ですね。
東香山ってのは中国に実際この名前の山があるそうで、その山の景色とこのお寺のある山の風景が似ていることからこの名前が付いたそうです。
じゃあ東香山って中国のどの辺にあるの?と思って色々調べたんですが、そこは不明。
どこにあるんでしょうね?

くるっと裏に回るとこんなのもあります。
「しあわせの鐘」。
この鐘を突くと幸せになれるんだとか。
基本どこのお寺に行っても勝手に鐘は鳴らしちゃいけませんからね。
だって四六時中そんなのゴンゴン鳴らされちゃ近所迷惑だし。
だけどこのお寺は山の中。(一応近所に民家もあるけど)
鳴らしたい人はご自由にどうぞ、って事になってます。
興味のある人は鳴らしてみてください、常識の範囲内で。

金沢でも屈指の伽藍群を備える大乗寺。
山の中という人気のない静かな環境の中、場が生み出す深淵な空気感はハンパありません。
日常生活から切り離された仏教世界が作り出す神秘のエネルギー、どうぞ心の奥まで思いっ切り吸い込んでってください。
次回はこの先に続く仏殿と法堂(はっとう)を見て行きます。
こちらも面白さいっぱい。
見ても見ても興味が尽きませんよ!
関連タグ >> お寺 大乗寺
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