金榮山 妙成寺 丈六堂 首と体の違いに気付けるか?
2020年03月14日
大仏さま。
そのサイズだけでものすごーくありがたい功徳をいただけるような、不思議な気持ちにさせてくれる仏さま。
そんなオーラ満点の仏像がここ妙成寺(みょうじょうじ)にあります。
場所は寺域奥にある丈六堂(じょうろくどう)。
お墓がずらっと並んだ細い通路を抜けた先にあります。
周りの木々が高いせいか、ちょっと鬱蒼としてて独特の空気。
建物は一見二階建てに見えますが、高天井の平屋建てになっています。
にも関わらず屋根が二層になっているのは、一層目の屋根が裳階(もこし)、つまり飾り屋根だから。
法隆寺の五重塔なんかにも付けられてますよね。
あの塔、五重塔だけど数えてみると屋根が6層あります。
あれ、一番下が裳階になっているんです。
入口は観音開きの2枚扉。
比較的装飾の質素な桟唐戸(さんからど)が付けられています。
その上には太い梁を挟んで蟇股(かえるまた)。
蟇股ってのは本来重量を支える補強部材なのですが、ここの場合は完全な装飾用となっています。
大きな透かし彫りがバーン!
彫られているのは木の枝に留まる大きな鳥、この鳥は鷹でしょうね。
「一富士、二鷹、三茄子」と言われる通り鷹は縁起のいい生き物、と同時にその力強さから「守護」を象徴します。
恐らくこの鷹にはお堂を守護する聖獣としての意味合いがあるのでしょう。
一歩中に入ると大きな仏像がどどーん!
釈迦牟尼仏立像(しゃかむにぶつりゅうぞう)です。
ほとんど天井ギリギリまで高さがあります。
お寺のアナウンスによると、高さは4.8メートルとのこと。
有名な奈良の大仏さまは座ってて15メートルですからね。
あのスケールには遠く及ばないものの、それでも目の前に見る4.8メートルはなかなかの迫力です。
しかも黄金の光をさーっと放ってて。
おっ・・と押されるような神々しさ。
ぱっと見分からんですが、この大仏さま、頭とその下は別の制作者なんだそうで。
寺伝によると、この近くの海岸に頭だけがどこからか流されてきて、それに合わせて中正院日護上人って仏師が下部分を作って合体させたんだとか。
そう言われて見てみると、なるほど、うん、全然分からん(笑)。
違和感のないキレイな仕上がりです。
そのお釈迦様像の左に控えるのが毘沙門天像。
毘沙門天とは四天王のひとりで、北を守る役割を担っています。
「天」部の仏さまらしく全身を甲冑で包んだ、荒々しい武者姿。
手には悪鬼を打ち据える武器「宝棒」を携えています。
ちなみに「天」ってのはランクのひとつ。
仏さまには上から順に「如来」「菩薩」「明王」「天」の4つのクラスがありまして、如来は如来、菩薩は菩薩”らしさ”が仏像において表現されます。
中でも天部の仏像は最もバラエティーが豊かで、このように甲冑姿のいで立ちのものが数多くあります。
カッコ良さに関する限り、この天部が何と言っても最強です!
反対の右側に控えるのは同じく四天王のひとり持国天。
こちらは東の守護仏。
ここで左が「北」で右が「東」、あれ?なんか方角的におかしくね?と気付かれた方、なかなかスルドイ。
これには次のようなお国事情が関係しています。
大昔、まだ朝廷の権威と支配権が日本全土に及んでいなかった頃、東北の地は蝦夷(えぞ)と呼ばれる未開地でした。
歴史の授業で必ず習う坂上田村麻呂(さかのうえ の たむらまろ)が征夷大将軍となって大遠征をしたのもこの頃ですね。
見方を変えれば「東北」の方角は朝廷にとって反逆者達が跋扈する恐怖の方角だったわけで。
なので北と東の守護神を並んで祀り、国の安堵を願ったのです。
その名残りが今もこうして「北・東」コンビで仏像を置くという風習となって残っているんですね。
丈六堂を出ると、右側にも小さなお堂。
こちらは閻魔堂(えんまどう)と呼ばれるお堂です。
中にはご覧の通り、閻魔大王がどどーん!
ガッ!と口を開いて白い歯をむき出し、真っ赤な顔でこちらを睨みつけています。
その両脇には右に鬼、左にいるのは・・・どう見ても人間。
この人、小野篁(おの の たかむら)ですね。
小野篁とは人間にしてこの世とあの世とを行き来し、あの世では閻魔大王に裁かれる死者の弁護をしたと伝えられる伝説の超人です。
言わば人間の守護者。
この人にしっかりお願いしとけば、死んだあの世でちょびっとだけ罪を軽くしてもらえるかもしれませんよ!
妙成寺の丈六堂。
まあそんなに派手な所でもないんですが、だけど細かく見ると面白さのいっぱい詰まった楽しいお堂です。
お釈迦様に幸せをお願いし。
毘沙門天と持国天に人生の守護をお願いし。
閻魔大王に寛大な判決をお願いし。
小野篁に強力な弁護をお願いすれば。
この世もあの世も憂いなくハッピーでいられる・・・かも?しれません。
どうぞ清い心でお参りを!
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