亀鶴蓬莱山 正覚院　気多大社の隣にあるシッブイお寺

 

亀鶴蓬莱山（きかくほうらいさん）正覚院（しょうがくいん）。
なんかお経みたいですが、実際お寺です。

 

場所は気多大社（けたたいしゃ）のすぐ隣。
この時点で分かる人にはピーンと来ると思いますが、このお寺元々は気多大社と一体でした。
それが明治時代の神仏分離令により独立、現在のように気多大社とは別の宗教組織となったのです。
それゆえか、ここには気多大社由来の寺宝が多数あるのだとか。
普段は公開してないので見れませんけどね。

 

 

入口入ってまず目に入るのが鐘楼（しょうろう）。
サイズこそそんなに大きくないですが、まーいい味出してまして。

 

構造は4本の柱と屋根だけで構成されたシンプルな吹き放し。
屋根は下に向かってほんのり反りが入り、瓦は黒の本瓦、棟の両脇にはイカツイ鬼瓦をガッシリと構える。
さらに降り棟の先にもひと回り小さな鬼瓦が4点、屋根下には火除けの水文様を刻んだ懸魚（げぎょ）を飾る。

 

足元の石垣も技巧的。
積み方は六角形に成形した石を組み上げた亀甲積み。
その石の色は赤・黒・グレーと意図的に散らし、そしてさり気なーく傾斜にカーブを施し反りを設ける。

 

 

その鐘楼から180度くるっと振り返ると、目に入るのが白寿観音像。
この観音様は長寿とボケ防止にご利益があるんだとか。

 

なるほど、「白寿」って名前からしていかにも長寿っぽいですわね。
しかもボケないと。
ボケずに長生きするってのは誰もが求める老後ですからね。
プラス健康。
ボケずに健康に、そして長生きが一番の理想。
あ、それと年金。
年金もいっぱいもらって・・・・欲張り過ぎ？？（笑）

 

 

本堂の前には立派な庭。
構成物は植栽と石物だけ。
水がないので動きがなく、静寂だけが支配する世界。

 

そんな中、ひときわ目を引くのが石造りの多宝塔。
高さは3メートルくらいですかね？

 

お寺において塔ってのはお釈迦様の舎利（しゃり）、つまり遺骨を納める施設を意味します。
もちろん遺骨の現物がある訳ないので、あくまでシンボルなんですけどね。
これをもっと大規模にしたのが三重塔とか五重塔。
あの立派な建物もこのシンプルな石塔も、実は同じ意味合いのものなのです。

 

 

そして本堂、これもイカシますわね～♪
屋根はやっぱり反り屋根、左右に向かってすっと伸びる。
鐘楼同様、黒の本瓦でずっしりと葺かれ、大棟には加賀前田家との繋がりを示す金箔装飾の加賀梅鉢紋がギラリ。

 

壁は白漆喰、上部には採光のための欄間を配置。
下部には引き違いの雨戸を備え、防水・換気・壁面保護の機能を確保する。
そして正面には高覧を設け、建物の内部と外部との隔絶性を緩衝。

 

コンパクトだけど丹念に設計された、きれいなお堂です。

 

 

さらにその本堂の正面入り口、ここもいいですわね。
滑らかなカーブを描く唐破風屋根の頂点に大振りの鬼瓦をガシーンと備え。
その直下に加賀梅鉢紋を重々しい銅細工で装飾。

 

軒下の仕立ても見事。
柱上部に設けた梁を虹梁（こうりょう）と呼ぶのですが、これが上下で2本。
その二重虹梁の間に獅子と牡丹の彫刻を左右ひとつずつ設け、さらに両端の木鼻部分にはバクを彫刻。
バクは夢を食べると言われる空想上の霊獣ですが、そこから派生して邪鬼も食うらそうで。
要は魔除け的な意味を含ませているのです。

 

 

本堂左奥には宝物庫。
ここだけあからさまな鉄筋、そして超頑丈なステンレス製の扉を備えた近代的な構造。
ダンプカーが突っ込んで来ても大丈夫そうなくらい、見るからに頑強な造り。

 

いかにもお宝が眠ってそうですが、本当にお宝が眠ってます。
冒頭でチラッと書いた気多大社由来の寺宝がここに収められているのです。
中には重要文化財の木造阿弥陀如来坐像も安置されてるとか。

 

んーーー見てみたい！！

 

 

気多大社の流れを汲む正覚院。
建物内は勝手に入れませんが、敷地内は自由に散策可能。
気多大社参拝の際にはぜひ合わせて訪問してみてください。
神社とは一味違ったお寺独特の空気が味わえて、なかなかに興味が尽きませんよ！

 

 

 

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