
鶴雲山 長久寺 謎の須弥壇の位置の謎はやっぱり謎
2020年02月15日

犀川のほとり、有名なW坂を登った先くらいに小さなお寺があります。
長久寺(ちょうきゅうじ)です。
エントランスのビジュアルがやや地味で、お隣の高岸寺の方が目立っちゃうので少々目に留まりにくいですが。
実際行ってみると、面白いものがいっぱいあります。

本堂はご覧の通りのばっさりとした造り。
黒瓦に、ほぼ飾りのない玄関。
目を引くものと言えば、扉のガラス面に描かれた前田家の剣梅鉢紋くらいですかね?
まあ別にお寺は美術館じゃないので、これで全然いいんですけどね(笑)。

でも中に入ると様相は一変。
どーん!と風格のある、なかなかに迫力のある装飾が楽しめます。
まずはこの須弥壇。
規模こそそれほど大きなものではないですが、整然と仏様が並べられています。
本尊ははっきりとは分からないのですが、恐らく釈迦如来じゃないですかね?
両脇に控える脇侍も不明、鶏獣座、どうもバク(夢を食うっていうあの空想上の生き物ね)に乗っているようですが、多分弥勒菩薩と阿弥陀仏じゃないかと思います。
お寺で聞いときゃ良かったですね。
住職さん、御朱印書きのご商売で忙しそうだったけど(笑)。

梁の装飾がこれまた立派。
柱側面から腕がぐっと突き出し、横に渡された太い梁をがっしりと支え。
その梁には禅宗様の雲模様を彫り込み、金で装飾。
梁の上部には彫刻欄間。
蓮の花や葉を強い強弱で掘り込み陰影をくっきりと際立たせ、ポイントとして左右にひとつずつ菊の紋を入れ、これも金で飾る。
さらに中央に大きな菊の紋をもうひとつ据え、どん!と強烈なインパクトで見る物に飛び込む。
カッコええ~♪♪

さてこのお寺、ちょっと妙な構成になってまして。
よーく観察せんと気付かんのですが。
天井が変なんですわ。
通常仏様の安置されている所は一番格の高い場所なので、天井も格式高い格天井になってます。
そして一般の人のお参りのための場所は、平易な棹縁天井になっています。
これが逆なんですよ。
仏様のいる場所が質素な棹縁で、一般参拝の人の場所が格天井、しかも天蓋付き。
明らかに変。

ここから先はわたしの想像ですが。
元々仏様が置かれている須弥壇は、現在の参拝者のための場所にあったんではないかと。
なのでその当時は格天井の下に仏様がいた訳です。
でもそれじゃ前が狭い!
もうちょっと人が入れるようにしたい!
って事で、須弥壇を後ろにずずっとズラして、参拝者用のスペースを広げたと。
その際天井も一緒にズラして・・って訳にはいかないので、そこはそのまま。
結果仏様が棹縁天井の下に来てしまい、参拝者の頭上は格天井になっている、というチグハグな状態ができあがった。
そう思うのですが、どうでしょう?

お堂の左側にも仏様。
釈迦如来か阿弥陀如来のどちらかと思うのですが、これも不明。
調査不足でスミマセン・・・(汗)。
高さは70~80センチほど。
厨子に納められ、背後には船形光、頭光には円光。
左手に与願印(よがんいん)、右手に施無畏印(せむいいん)の印相を結ぶ、お決まりのポーズを取っています。
表情は穏やかながらやや吊り目気味で、顎のラインはゆるやかな丸みを帯び。
頭頂の肉髻(にくけい)は少し高め。
蓮華座の上に立ち、静かに正面を見据えます。
この仏像、姿勢がやや前傾してるのが気になるのですが。
これは元々この角度なんですかね、なんかの理由で前に傾いたんですかね?
ど~にも不安定で不自然。
なんでこんなんなってんだろ?

ド派手なアピールポイントこそありませんが、地味に面白さが詰まった長久寺。
本堂右手の座敷にしつられられた床の間や、そこから眺める庭の眺めもなかなか味があっていいですよ。
時間がある人は縁側に座って、じーっとお庭鑑賞なんかも楽しんでみてください。

最後に見て欲しいものがもうひとつ。
それはお寺の裏側から見下ろす景色。
このお寺、寺町台地の上、犀川のすぐそばにあるので、かなり高低差があるんです。
おかげでここからの眺めは格別。
川から吹き上げる気持ちい~い風を浴びながら、兼六園や金沢城、ドコにあるのかな~?なんて探してみるのも面白いですよ。
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