店主たみこの観光案内ブログ

大蓮山 妙法寺

2020年01月11日

妙法寺

 

金沢には前田家と深い縁を持つお寺が数多くありますが、こちらもそのひとつ。
大蓮山妙法寺(だいれんざん みょうほうじ)です。

 

お寺を開いたのは円智院妙浄法尼。

読み方は「えんちいんみょうじょうほうに」でしょう、多分。
前田利家の弟である佐脇良之(さわき よしゆき)の娘で、良之が三方ヶ原の戦いで戦死したために利家の養女となり、のちに前田家家臣の篠原一孝(しのはら かずたか)の元に嫁ぎました。


「円智院妙浄」は出家後の僧名なので、それ以前の名前「篠原~」があるはずですが不明。
記録とか残ってないんですかね?

 

本堂内の須弥壇

 

本堂のご本尊が鎮座する内陣は、ご覧の通り長い黄金の幢幡(どうばん)がざらりと吊り下がる豪華なビジュアル。
その奥にはこれまた大きな黄金の天蓋がぶら下がり。
その最奥の須弥壇中央に日蓮上人像。

 

この日蓮上人像、頭に何か乗っけてますが、何か分かりますか?
答えは見たそのまんまで、「頭巾」です。
なんで頭巾なんか乗っけてるかと言うと、寒い時期になると頭が痛くなるから。

 

日蓮上人像

 

日蓮上人ってのは、まあ今でいう所の「過激派」で、日蓮宗の布教に際しかなり他宗派を攻撃したんですよ。
攻撃って言っても暴力とかの物理的な話じゃなくて、思想的な言論の話ですよ。
その結果めちゃめちゃ敵を増やしまして、いつ暗殺されてもおかしくない状況だったんですね。
で実際暗殺されかけまして、その時頭に傷を負い、この傷跡が寒い時期になるとシクシク傷んだそうなんですわ。
そこで頭巾をかぶって、古傷が冷えるのを防いだと。
なので今でも寒い時期は傷が冷えないよう、尊像に頭巾をかぶせる風習が残っているのです。

 

ちなみにこの頭巾、住職さんの話では、通常は秋のお会式から春の彼岸の間までかぶせるのが通例となっているんだそうで。
ですがお寺によっては春の彼岸を過ぎてもそのまんまにしてる所もあるらしく。
その場合ついうっかり頭巾外すのを忘れてるか、そうでなきゃ横着してるかのどっちかなので、見付けたらすかさず突っ込んでやってくださいと言ってました(笑)。

 

鬼子母神像

 

本尊の隣の部屋には鬼子母神像(きしもじんぞう)。
ちょーっと御簾(みす)で隠れててよく見えませんが、厨子の中に木像が安置されています。
手にはトレードマークのザクロを持ち、表情は穏やか・・・らしいですが。
暗くて、現場で直接見ても全然見えません(汗)。

 

その左右に控えるのは十羅刹女(じゅうらせつにょ)。
法華経のお経に登場する女性の鬼神です。
それぞれ藍婆(らんば)、毘藍婆(びらんば)、曲歯(こくし)、華歯(けし)、黒歯(こくし)、多髪(たはつ)、無厭足(むえんぞく)、持瓔珞(じようらく)、皇諦(こうだい)、奪一切衆生精気(だついっさいしゅじょうしょうげ)と、名前がちゃんとあります、が。
どれがどれかはさっぱり分かりません。(←!)

 

中央の丸鏡は神仏習合時代の名残りですね。
堂内には他にもいくつか丸鏡が散見されます。

 

仏涅槃図

 

こちらは寺宝である「仏涅槃図(ぶつねはんず)」。
画像でなんとなく雰囲気伝わると思いますが、デカイですよ。
高さは軽く2メートルを越えます。

 

制作は江戸時代と言われており、色使いが見事。
赤・茶・緑・黒などをバランスよく配し、極彩色に満ちたちょっと派手めの仏教画になっています。
中央には入滅した(亡くなった)お釈迦様が沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の下に横たわり、その周りには嘆き悲しむ多くの弟子達。
顔ぶれを見ると法衣をまとった僧だけに限らず、普段着の庶民、鎧を着た兵士など、身分を問わず様々な職業・階層の人が集まっています。
さらに画面下には動物、良く見るとバクや鳳凰といった霊獣までもが混ざっています。

 

目を上に移すと、雲間から降下してくる天女。
これは釈迦の生母の摩耶夫人(まやふじん)です。
この世を離れ涅槃へと旅立つ釈迦を迎えに来ているのです。

 

円智院妙浄法尼画像

 

その仏涅槃図の隣にあるのは「円智院妙浄法尼画像」。
先に登場した円智院妙浄の画で、没年である1598年に描かれたものです。

 

中央の女性が円智院妙浄、髪は伸ばしているので出家前の姿でしょうね。
前に置いてある台に乗せた細長いものは妙法蓮華経、つまり経典です。
この経典、今も実物が残っているそうで、お寺か県立美術館かどこかにあるはずです。

 

あっとそうそう!この絵、レプリカです。
本物はお寺にはなく、県立美術館に保管されています。
理由はセキュリティと保全維持のため。
何しろ古い骨董なので、痛みを防ぐには専門の施設に預けた方が安全なのです。
湿度やら温度やら、個人で理想的なコンディションを維持するのは難しいんでしょうね。

 

妙法寺のドウダンツツジ

 

お堂の奥にも面白いものがあります
ドウダンツツジです。

高さ4メートル、幅7メートル強。
わたし植物の事はよく分からんのですが、このサイズはツツジとしては破格の大きさなのだそうです。
見る人が見ると「うお!でけえっ!」と驚くそうです。
多分日本で一番大きいツツジだろうと言われています。

 

なんでこんなにでっかくなったかというと環境。
周りに高い木が生い茂ることで影ができ、ツツジの苦手な直射日光を遮り。
腐葉土たっぷりの土が雨水をスポンジのように吸い取って、地面がべちゃべちゃになるのを防ぎ。
同時に豊富な栄養と水分を与え。
冬は周りの木や建物が雨風から守り。
あらゆる好条件が重なった結果、ここまで大きく育ったんだそうです。
樹齢にしておよそ400年。
巨大なおじいちゃんです。

 

妙法寺山門

 

加賀藩の命脈を今に受け継ぐ妙法寺。
黄金で飾られた仏さまを拝むもヨシ。
日蓮上人の遺徳をしのぶもヨシ。
鬼子母神に子供の健康を祈るもヨシ。
裏庭のビッグなドウダンツツジを眺めるもヨシ。
楽しみ方は色々。
どうか肩の力を抜いてお気軽にお参りください。

 

ちなみにここの住職さん、とっても陽気な人です。
見かけたら話しかけると、他にも色々お寺の面白い話が聞けるかもしれませんよ!

 

 

大蓮山 妙法寺

住所:石川県金沢市寺町 4-2-6

TEL:076-242-0949

 




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