
金沢市立玉川図書館
2019年07月23日

金沢観光の定番、近江町市場
そこからから歩いて5分のところに、い~い図書館があります。
玉川図書館です。
周囲は大きな公園になっていて、元々は加賀八家と呼ばれる加賀藩重臣の長家の屋敷があった場所です。
多分この公園、丸々屋敷だったんじゃないですかね?
その一区画に図書館が建っています。
見ると分かるんですが。
地味ですよ~(笑)。
設計は谷口吉生(たにぐちよしお)。
金沢を代表する建築家さんです。
吉生氏のお父さんである吉郎(よしろう)氏も建築家で、この玉川図書館は親子二人の合作によって生まれました。
役割は父親の吉郎氏が総合監修、息子の吉生氏が建築設計。
ただこの時吉郎氏は既に病床にあり、現場でバリバリって訳にはいかず、吉生氏が病院まで図面を運んで相談しながら作業を進めたそうです。
しかし残念ながら完成を待たずして吉郎氏は亡くなり。
玉川図書館は吉郎氏にとって最後の、そして息子吉生氏との唯一の合同作品となったのです。
さてこの図書館、先にも書いた通り地味なんですが。
これ、わざとこんな設計にしてありまして。
「周りの景色に溶け込む建築」、そんなテーマが根底にあるそうです。
なので恐らく意識的にと思いますが、サイズの割にはえらく高さが抑えられています。
さらに壁は深く沈んだ黒と言うか濃紺色。
なんでもコールテン鋼という素材を使ってるそうですが、とにかく徹底して存在感を消しています。
鬱蒼と茂る木々の中にひっそりとたたずむ忘れられた人工物、そんな感じです。
でも中は全然違ってて、開放感満点!
天井を高く取って、縦の広がりをダイナミックに表現し。
柱の数を抑えて、すっきりとした見通しを確保。
さらに壁面には大ガラスを連続して並べて、みずみずしい自然光をふんだんに取り入れ。
しかもこのガラスによって建物の中と外とを視覚的に一体化させ、空間をぐんと広げる。
抜けのいい、快適な構造を実現しています。
ここにいると感じる、なんとなーく心落ち着く感覚。
実は全てが「計算」と「設計」によって生み出されているのです。
気付いてました?
谷口吉郎・吉生親子による、この世でただひとつのコラボレーション作品。
玉川図書館。
本を読んだり勉強したりするのもいいですが。
建物に込められた見事な演出にも、じっくりと目を向けてみてください。
見れば見るほど。
シビれますよ!
金沢市立玉川図書館
住所:石川県金沢市玉川町 2-20
TEL:076-221-1960
関連タグ >> 近代建築
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