
かなざわ道の船 ~歩けるまちアートベンチ~
2019年07月13日

金沢は何気に街角アートに力を入れてまして。
やかん(←?)、食パン(←?)、錆びた球体(←?)、走る足(←?)、目(←?)などなど。
そんな流れのひとつとして最近登場したものがあります。
アートベンチです。
ベンチのデザインは北前船をモチーフとしてあります。
船の役割はヒトとモノを運ぶこと。
つまりこのベンチは、街中へとヒトを運ぶ「船」をイメージしているのです。
ところで北前船ってご存知ですかね?
江戸時代から明治初期にかけて日本海をぐる~と回った物流船で、北は北海道から南は瀬戸内海をくぐって大阪まで、長大な航路を往復していました。
そこから生まれる利益は莫大で、嵐による難破などのリスクはあるものの、成功すれば一攫千金。
江戸末期の豪商銭屋五兵衛(ぜにやごへい)なんかは、この廻船業で「海の百万石」と呼ばれるほどにボロ儲けしたそうです。
そしてここ金沢の港は、そんな北前船の寄港地でした。
金沢と北前船の間には、そんな切っても切れない深~い縁があるのです。
現在設置されているアートベンチは8つ。
それぞれデザインが違って、名前も付いています。
金沢駅から近い順にざっと羅列すると。
・此花丸(このはなまる)
・別院丸(べついんまる)
・武蔵丸(むさしまる)
・安江丸(やすえまる)
・近江丸(おうみまる)
・尾山丸(おやままる)
・ラモーダ香林坊丸(こうりんぼうまる)
・アトリオ香林坊丸
となります。
ちなみに画像は近江町市場内にある近江丸です。
さてこのベンチ、風合いがなんとなーくアレに似てると思いませんか?
アレですよ、アレ。
分かる?
そう!金沢駅の鼓門です。
実はベンチの色を決定するにあたって、鼓門の色にわざと近づけてあります。
この色にたどり着くまでにデザイナーさんと業者さんとの間で、ものすごく検討が重ねられたそうで。
濃いとか薄いとか明るいとか暗いとか。
なぜそこまで鼓門の色にこだわったのかと言うと、金沢駅から街中までを連続性のある1本の線で繋ぎたかったからです。
それはつまりこういう事です。
(※金沢駅内コンコースの柱も鼓門の色に合わせてあります)
金沢駅に降り立つ。
↓
コンコースに連立する深茶色の柱の通路を通る
↓
駅正面にある深茶色の鼓門をくぐる
↓
道沿いに深茶色のアートベンチがある
↓
連続して現れるアートベンチの「船」に誘われるようにして街中へと進む
↓
金沢城や兼六園、21世紀美術館のある金沢観光の心臓部へとたどり着く
という一連のストーリーが完成するのです。
どうです?
何気ない街中のベンチに、実は広大な設計図が隠されているでしょ?
駅から街中へとヒトを運ぶ「船」、アートベンチ。
バスを使って一気にビュンと街中まで行くのもいいですが。
せっかくの金沢観光、ゆっくり時間をかけて周りの風景を楽しみながら歩くってのも悪くないですよ。
そこにはバスでは見えてこない景色もあるはず。
途中で疲れたらベンチに座って休憩するもヨシ。
のんび~りスローな観光をお楽しみください。
なおベンチにはそれぞれQRコードが印刷されています。
このコードを携帯で読み取れば、観光案内や今座っているベンチの説明なんかが見られます。
余裕のある人はそんなところも遊んでみてください。
近江町市場
住所:石川県金沢市上近江町 50
TEL:076-231-1462
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