店主たみこの観光案内日記

九谷焼窯跡展示館

2019年04月13日

九谷焼窯跡展示館

 

九谷焼。
石川県を代表する伝統工芸品。
そんな九谷焼のルーツとも言うべき初期の窯跡を見られるのが、ここ九谷焼窯跡展示館です。

 

まずはさらっと九谷焼の歴史を解説します。

 

九谷焼のルーツは佐賀の有田焼にあり、大聖寺藩士の後藤才次郎が有田で技術を習得し持ち帰ったのが始まりとされています。
時期にして1655年頃。
ところがその約50年後、藩の命令によって突然廃窯となります。
なぜ製造が中止されたのか、その点についてのはっきりとした記録は残っていません。
いずれにせよ、九谷焼の歴史はここで一旦途切れることとなります。

 

それから約1世紀後、再び九谷焼にスポットが当たります。
その契機となったのが吉田屋伝右衛門という人物。
伝右衛門はこの地を代表する豪商のひとりでした。
九谷焼に何か感じるものがあったんでしょうね、採算度外視で窯を開いたそうです。
残念ながらその窯はわずか7年と短命に終わるのですが、その後も九谷焼再興の流れは途切れず。
明治期にはウィーン万国博覧会に出品するなど、海外にまで販路を広げ。
今や世界の九谷焼として、その名をとどろかせるようになったのです。

 

このように九谷焼は歴史上ふたつの時期に区分され、前期に作られたものを「古九谷」、復活後に作られたものを「再興九谷」と呼んでいます。
そしてここ九谷焼窯跡展示館で見られる窯跡は、後者の再興九谷の方になります。

 

この窯跡、すごく保存状態が良好で。
山の傾斜を上手に利用している様子が実によく分かります。
『登り窯』ってヤツですね。

 

あ、登り窯って分かります?
要は下で薪を炊いて、発生した熱やガスを上部の空間に次々と送り込んで製品を焼いていく仕組みなのですが。
この傾斜の角度がとっても重要で。
急すぎると熱がバンバン逃げてしまい。
緩すぎると上まで熱が上がりにくく。
この辺の微妙なさじ加減がものすごく難しいんだそうです。

 

そんな仕組みを理解したうえで窯跡を眺めると。
お~ここで薪を炊くのか。
お~こんな経路で煙が登っていくのか。
と、なんとな~く窯のメカニズムが見えてきます。

 

ただここで見られるのはあくまで「窯跡」。
本来はこの傾斜の上に窯がどーんと設置されていたのです。
なので当時の光景は今とは全然違うものだったはず。
巨大な窯に火をくべながらガンガンと焼き上げていく様は、それはそれは豪快なものだったんでしょうね!

 

もちろん実物の窯も見られます。
この窯跡のすぐ隣に窯小屋があって、そこに当時の窯がそのままの姿で残されています。
窯跡に比べれば若干規模は小さくなりますが、それでも雰囲気は十分味わえるはず。
ここに薪をくべて、ここに品物を並べて、こんな感じで熱が上に抜けて・・・、と登り窯の仕組み・全貌がざっと見渡せます。
これを見れば窯の構造が一目瞭然。

 

窯小屋のすぐ向かいには工房&展示館もあります。
九谷焼の作品や道具類の数々、そして奥の部屋では歴史に関する動画なんかが見られます。
ここもなかなかに見応え満点。
希望すれば蹴ロクロ体験なんかもできますので、興味があったらぜひ挑戦してみてください。



九谷焼の歴史が味わえる九谷焼窯跡展示館。
今に残る遺跡・痕跡をたどりながら、その奥深い世界を思いっ切りご堪能ください。

 

年に1回窯炊きのイベントなんかも行われているようですので。
そんなタイミングを狙っていくのも面白いかもしれませんよ!

 

 

九谷焼窯跡展示館

住所:石川県加賀市山代温泉 19-101-9

TEL:0761-77-0020

 




エリア >> 石川県 > 加賀市 > 山代温泉

 

関連タグ >> 美術館・博物館 

 


コメントをする

 

 

 

山代温泉の最新記事一覧

薬王院 温泉寺 「あいうえお」はここから始まりました

2025年04月26日

湯治客で賑わう山代温泉の一角にシブ~いお寺があります。その名も温泉寺、名前から分かる通り温泉を守るために建てられたお寺で・・・

カテゴリー:観光名所

魯山人寓居跡 いろは草庵 魯山人も愛したシブ~い屋敷

2024年11月16日

北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)、ご存知の方も多いでしょう。グルメ漫画「美味しんぼ」にも度々名前の挙がった美食家で・・・

カテゴリー:観光名所

九谷焼窯跡展示館

2019年04月13日

九谷焼。石川県を代表する伝統工芸品。そんな九谷焼のルーツとも言うべき初期の窯跡を見られるのが、ここ九谷焼窯跡展示館です。・・・

カテゴリー:観光名所


 

新着記事

>> 記事一覧