末森城跡
2019年03月23日
末森城。
この名前を聞いて「あ、花の慶次」とピンと来た人は、多分わたしと同世代です(笑)。
そう、その末森城。
前田慶次郎(まえだけいじろう)の盟友奥村助右衛門(おくむらすけえもん)が初登場するくだりで舞台となった場所。
作中では越中(富山)の佐々成正(さっさなりまさ)の急襲から、命がけで城を守った猛将という役柄でした。
世に言う「末森合戦」です。
このあたり、もう少し詳しく見ていきましょう。
末森城は北に伸びる能登半島の付け根にありました。
そのすぐ南には前田利家が控える加賀藩の心臓部金沢、さらにちょっと東を向けば越中。
つまり能登・加賀・越中、三つの地域を繋ぐ結節点となる場所だったんですね。
こんな場所は当然モメ事の火種となりやすい訳で。
時は信長の死後。
秀吉と家康がまだドンパチやってた頃。
加賀の利家は秀吉側につき、越中の成正は家康側につき、両者の領国は隣同士。
もーこれだけで一触即発。
そして。
始まるべくして始まっちゃったんですよ。
1584年9月、本能寺の変のわずか2年後。
15,000もの大軍を率いた成正が末森城を攻撃、一気に二の丸まで抑えてしまいます。
そもそもこの末森城、石垣の類はなく、防御構造と言えば急勾配の斜面やその地形を利用した土塁や空堀といったかなり原始的な造り。
あんまり防御力高くなかったんですな。
その上手勢はわずか500人程度。
これじゃケンカになりませんわ。
が、ここで頑張ったのが助右衛門。
色んな資料を見ると、この時末森城を死守したのは奥村永福(おくむらながとみ)という記述をよく見かけますが、同じ人です。
と言うか「永福」の方が正式な名前で「助右衛門」の方が仮名なんだとか。
まあどっちでもいいですが。
この圧倒的な戦力差を意地で持ちこたえ。
援軍の到来だけを信じ、ひたすら戦い続けました。
そして2日後、ついに待望の利家軍が到着。
その数なんと!
たったの2,500!!!!
いやいやいや全然足りませんわ。
これは別に利家が成正をナメてた訳じゃなく、単に急すぎてこれだけの数しかかき集められなかっただけの話なのですが。
でも戦闘ってのは不思議と数だけじゃ決まらないもので。
地の利を生かした攻撃と奇襲により利家軍は成正軍を圧倒。
見事に勝利をつかみ取ります。
その後越中に戻った成正は利家の親分である秀吉に攻められ、あえなく敗北。
領地を没収されて、大阪へと強制移住させられます。
そのまましばらく秀吉の元で働き、やがて肥後の国を与えられて再び大名に返り咲いたものの、今度は領内で一揆が勃発。
失政の責を取らされて切腹、という悲しい最期を遂げます。
一方で利家は、末森合戦の功を称えられ、加賀・能登に加え越中の地をも拝領。
ここに巨大な加賀百万石の礎が出来上がるのです。
まさに戦ひとつで明暗が分かれた二人ですな。
現地は城跡とは言え、ほぼ未整備。
城郭建築は何一つ残っておらず、ただひたすら山道だけが続きます。
きれいにしつらえられた公園のようなイメージで行くと、ちょっと???って感じになりますよ。
ほぼ山登りだと思っておいてください。
ただ城好きにはそれが逆に「ツウ」心をくすぐり。
お、ここ堀切じゃん。
お、これ土塁の痕跡じゃん。
みたいな「さすがオレ様、見つけちゃったヨ!」的な発見が至る所で楽しめます。
まあソコまでいったら。
半分病気だけどね(笑)。
末森城跡
住所:石川県羽咋郡宝達志水町竹生野
関連タグ >> お城
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