兼六園 唐崎松の雪吊り
2018年11月24日
兼六園の大きな見どころのひとつ、唐崎松(からさきのまつ)。
加賀藩13代藩主前田斉泰(なりやす)が、わざわざ琵琶湖畔の唐崎松から種子を取り寄せて植えたものと言われています。
樹齢およそ170年。
その間繰り返し剪定・製枝が行われ、現在の見事な枝ぶりへと成長しました。
この剪定、実はかなり独特で。
ほとんどハサミが使われません。
手で葉を1枚1枚むしり取っていく「透かし剪定」と呼ばれる手法を取っており、とにかく恐ろしく手間がかかります。
作業期間は庭師5人がかりでなんと1ヶ月!
夏場の暑い時期の作業なので、そりゃもう大変でしょうね。
こうして丹念に手入れされた唐崎松。
もちろんその樹姿だけでも十分素晴らしいのですが、最も注目を浴びるのは冬。
そう、雪吊りのシーズンです。
雪吊りとは、樹木を雪のダメージから守るためのもの。
枝を縄や木で固定し、積もった雪によってしなったり折れたりするのを防ぐのです。
方法は色々ありますが、中でも最も美しく仕上がるのが「リンゴ吊り」と呼ばれる方法。
支柱を立て、その先から円錐形に縄を規則正しく張り巡らし、中に樹をすっぽりと覆い込みます。
唐崎松には必ずこのリンゴ吊りを施すのが慣例となっており、樹体が大きな事もあり、その姿は見事。
美しさとサイズの大きさで見る者を圧倒します。
ちなみにこの雪吊りが行われるのは当然兼六園だけではありません。
金沢駅前の松や街路樹など、市内至る所で行われます。
でも手当たり次第に吊っていってる訳ではなく、実は順番が決められています。
それはスタートは唐崎松から始めること。
そして最後は唐崎松をほどくこと。
つまり唐崎松から始まって唐崎松で終わるのがルールなのです。
これはもちろん観光客への配慮。
最も枝ぶりが美しくかつ見応えのある唐崎松の雪吊りをひとりでも多くの人に見てもらうため、このような決まりになったのです。
兼六園唐崎松。
雪吊りの始まった今はちょうど見頃です。
番傘のように美しく張られた縄は完全にアート。
ぜひその美しい姿を生でご覧になって下さい。
もちろん雪景色の中の唐崎松も情緒満点。
白い雪が陽光を照り返し、銀色に輝く姿はたまらなく神々しいですよ!
まあわたしは寒いのはヤなので。
家にこもってますけどね(笑)。
兼六園
住所:石川県金沢市兼六町 1
TEL:076-234-3800
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