
兼六園 噴水
2018年09月23日

兼六園内を金沢城寄りに歩いていると、しゅわーっと勢いよく聞こえてくる水の音。
噴水です。
あら噴水、きれいね、なんて思ってないで良く考えて下さい。
兼六園は江戸時代に整備された庭園です。
そこに噴水があるんです。
なんか違和感ありませんか?
そもそも動力はどうするの?
電気?
いやいや江戸時代でしょ?
と、色々疑問が思い浮かんでくるはずです。
この噴水、れっきとした江戸時代のものです。
もちろん当時、電気なんてものはなく。
動力は高低差と水圧。
難しい用語を使うと、「逆サイフォンの原理」ってヤツで実現しています。
この噴水のすぐ向こうに霞ヶ池って大きな池がありまして。
そことこの噴水とが地下の暗渠で繋がってるんですね。
高低差の関係上、上位にある池からは当然水が流れ落ちてきて。
下まで来た水は、今度は水圧で上に向かってぶっしゃー!!!
これがこの噴水の仕組みです。
えらい凝ったもの作るなあ、と思われるでしょう。
でもこの噴水、実はオシャレで作った訳でなく(まあそういう意図もあったでしょうが)、ある実験のために作られました。
それは金沢城への送水テスト。
現地に行けば分かりますが、ここから金沢城との間には大きなくぼみがあります。
今は道路、かつてはお堀でした。
このくぼみを越えて、なんとか城内まで水を引っ張りたい。
だけど水は高い所から低い所にしか流れない。
当時は当然電力なんてないから、ポンプでくみ上げるなんて出来ない。
じゃあどうする?
って事で採用されたのがこの逆サイフォンの原理。
石川橋の下に水道管を通して城内まで水を引っ張り、そこから逆サイフォンの原理を使ってぶしゃーっと上に吹き上げる。
と、こんな仕組みを作ったのです。
そのためのミニテストとして作られたのがこの噴水なのです。
で、成功したのか?
成功したそうです。
昔の文献に、金沢城の二の丸から水が噴き出したという記録が残っています。
すごいね。
江戸時代の土木技術恐るべし!です。
今は残念ながらその痕跡を見ることはできず。
二の丸のどの辺でどんな感じで水が湧き出てたのか、知るすべはありません。
ぜひその様子を1回見てみたいんですけどね。
ただ現在、お城の復元事業が着々と進んでおりまして。
ひょっとしたらこの「二の丸噴水」の復元も計画に上がるかもしれません。
そうなったらいいですね!
兼六園内で一番ド派手なアトラクション(←?)、噴水。
非常に涼やかで気持ちいいですが。
その裏には超ハイテクな江戸時代の技術があったことを覚えておいて下さい。
先人の技に。
拍手です!!
兼六園
住所:石川県金沢市兼六町 1
TEL:076-234-3800
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